加湿と感染予防の関係
週明けから寒波襲来ということで鍋やシチューがいっそう美味しく感じられる時季ですね。
私は冬といえばグラコロが思い浮かびます。食べたいなぁと思い立って早4年、今年こそ食べたいです。
さて、皆様は加湿器をお持ちですか?
今どきは100円ショップでも買える時代ですから複数持ちの方も多いかと思います。
とりわけ今年は新型コロナの『エアロゾル感染』を防ぐという意味合いが強く出ていると感じます。
■そもそも『エアロゾル感染』とは何なのか
明確な定義は無いのですが、飛沫感染と飛沫核感染のことです。そも『エアロゾル』自体は空気中に液体または固体の微粒子が広がった状態を指しており、『エアロゾル感染』はその空気中に漂う様々な微粒子の中に病原体が含まれていて、それを介して感染する事を指します。
感染経路として飛沫感染と飛沫核感染の意味合いを包含している用語ですがそれぞれの感染対策は異なります。
飛沫感染はくしゃみや咳で発生し水分を伴うので自重で落ちていくので頃合いを見計らってサッと掃除すれば除去できるのに対して、飛沫核感染は飛んだ飛沫の水分が蒸発して身軽になり長時間の浮遊が可能になっており換気で外に出すくらいしか対策が無いのが現状です。
空調で除去すればいいのでは?と考える方もいるかと思いますが、空調でウイルスを拡散したという事例があるのですよ、ノロウイルスっていうんですけど。ちょうどこれからがピークで、何よりアルコール消毒効かないんですよ、コレ…。
定期的な換気の時間を設けたり、少しだけ開けた状態を保ちつつ暖房を回すという方法もありますが、寒い時季にやるとなると気が引けますよね。雨天時なんかは窓開けたら大惨事ですし。
■そこで活躍するのが加湿器!
実際、スパコン『富岳』によるシミュレーションでは、湿度30・60・90%時の飛沫・飛沫核の飛散状態の再現が出ています。
湿度が高いほど排出された飛沫は咳をした人物の手前に落下し、低下するにしたがって落下する量は減って飛沫核として空気中に漂うという結果が出ています。
更に、排出された飛沫核が正面にいる人物にどれだけの量届くのかという再現でも、想定した1.8mの距離において湿度90%では約2%到達であるのに対して湿度30%では約6%の到達が算出されています。まあ現実として人がいる方向に咳をするな、そもマスクをしろ、という話ですが…。
以上のことから、冬は加湿器などを使って乾燥を防ぐことで、空気中に飛散する飛沫・飛沫核の量を減らすことが感染予防として有効であるといえるでしょう。プラスで換気と合わせて行えば予防効果は上がると思います。
ところで、加湿器に消毒液を入れればウイルスを除去できるのでは?と考える方がいそうですが、絶対にやめてください。機器の故障の原因にもなりますし、過去には殺菌剤を加湿器に入れて使用したら死亡事故が起こったそうです。絶対にやめましょう。塩素系漂白剤やメタノールなんかは死なずとも失明の恐れがありますからね。絶対にやめましょう。マスクに塗布するのもやめて。
参考文献
東京大学 保健・健康推進本部保健センター
理化学研究所計算科学研究センター
日本経済新聞(2020/04/29)